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Interview:Copyright/Reserved ,Extensive Publishing

更新日:6月12日


Copyright Reserved Design Studio, Photo Courtesy of Machine 56 and Reza Adharis
Copyright Reserved Design Studio, Photo Courtesy of Machine 56 and Reza Adharis


_まずは初めに自己紹介をお願いします。


私たちは、インドネシア・バンドンを拠点に活動している「Copyright/Reserved」です。自分たちのことを“実験的デザインスタジオ”と呼んでいるのですが、それは、実験という姿勢が、プロダクトの制作やクライアントとのコラボレーションの根幹にあるからです。

スタジオはHilmyとPutri、ファインアート出身のふたりによって始まりました。最初にこの“ビジネス”を構想したとき、自然と“スタジオ”という形式が自分たちのアイデンティティにいちばんしっくりきたんです。それはあくまで、ごく自然なプロセスでした。

当初は、大きな理念や美しい理由にこだわっていたわけではありません。ただ、その後の道のりで、私たちの理想を共有する仲間たちと出会い(そして時には別れを経験し)、そのプロセスの中で、少しずつ自分たち自身を発見していきました。チームやクライアントから多くのことを学び、同時に、私たちの側からも何かを還元できていたと感じています。

この6年間で気づいたのは、私たちのアイデアや創造性は、自由に議論し、のびのびと創作できる環境にあるときこそ最もよく機能する、ということでした。幸運なことに、そんな自由を尊重してくれるクライアントにも恵まれ、美しいプロジェクトをいくつも手がけることができました。


また、私たちの出版ライン「Extensive Publishing」を立ち上げたのは、クライアントワークの枠を超えて、自分たちのビジョンをより自由に探求したいという思いからでした。形式的な制約を超えて、新しい表現の可能性を切り拓きたかったんです。この2年間で、リソグラフ印刷機を導入し、30人以上の共同制作者とコラボレーションしながら、自主制作の本を6冊刊行し、10回の国際的なブックフェアにも参加してきました。


スタジオとしてのアウトプットの一環として、ZINEやその他の印刷物の制作は以前から続けてきました。昼間は商業プロジェクトに追われつつも、夜になるとその反動のように、個人的な創造活動に没頭することもしばしばです。仕事を通して思いの丈を“喚き散らす”ような、そんな感覚。忙しい日々の喧騒の中で、本当に好きなものを生み出す時間があることが、私たちのバランスを保ってくれています。

スタジオでは、すべてのメンバーにZINEをつくることを勧めています。それはとてもやりがいのあることであり、力を与えてくれます。そしてこの習慣は、これからも変わることはありません。

私たちが手がける本やZINEは、これからもスタジオの重要なアウトプットであり続けます。そして同時に、それらは誰もが安心して自由に自己表現できる場所でもあるのです。


魔法少女zine
魔法少女zine

私たちは、コラボレーションに情熱を注ぎながら、クリエイティブで有機的な環境の中で成長してきました。アーティスト、ミュージシャン、コレクティブなど、具体的な作品の制作やプロジェクトの出版に関してサポートを必要としているすべての人を歓迎しています。スタジオの施設は、誰でも訪れることができ、自由にアイデアを語り合えるよう開かれた空間です。私たちが尊敬している人々や、自らアプローチしてきてくれる人たちを招き入れ、ともに新たな可能性を探ることを大切にしています。

私たちは、あえて“正式なキュレーション・プロセス”には従っていません。プロジェクトの選定は、あくまで私たちの個人的な好みに基づいています。誠実で、芸術的で、情熱が込められていて、しっかりと構築された作品、、、そんな表現に惹かれます。

長年の献身的な努力が作品に反映されることを称え、さまざまな創造的分野をひとつのプロジェクトに融合させるという挑戦を楽しんでいます。

私たちにとって、コラボレーションの精神こそが最大の原動力です。新しい本やZINEを世に送り出すたびに、私たちはその熱気に胸を高鳴らせています。


……長くなってしまいましたが、私たちが本当に、心からもっと知りたいと思っているのは、やっぱり“人”のことなんです!


_丁寧にお答えいただき、ありがとうございます。共同制作を通じて新たなクリエイティブの道を探求している、というお話はとても興味深いですね!

これまでコラボレーションしてきた方々との作品については、後ほどぜひ詳しく伺いたいと思っていますが、その前に、おふたりのファインアートのバックグラウンドについて、もう少し詳しくお聞きしてもよろしいでしょうか?「Copyright/Reserved」を設立する以前は、どのような作品を手がけていたのですか? そして現在も、個人的な作品の制作は続けているのでしょうか?


以前は、私(Putri)とHilmy、それぞれが個別にアート作品の制作に専念していました。Hilmyは主に絵画やオブジェの制作を手がけていて、私は写真集やステンドグラス作品を制作していました。

現在は、一度そうした作品制作を休止しているところです。最後に何かを手がけたのは、2021年か2022年だったと思います。でも、また近いうちに再開したいと考えています。来年には、本格的に制作活動を再開できればと思っているんです。


【Hilmy Works】

Exessive Yet Overwhelming Methods to Present Art Object_150 cmx120cmx50cm_Crate box, Trolley wheel, oil & acrylic on canvas, printed pvc 2019-Photo by Hilmy P Soepadmo
Exessive Yet Overwhelming Methods to Present Art Object_150 cmx120cmx50cm_Crate box, Trolley wheel, oil & acrylic on canvas, printed pvc 2019-Photo by Hilmy P Soepadmo
It’s Neither Artwork, Nor Commodification Either Way I’m Fine - Printed plexiglass, oil on canvas, foam 102 cm x 62 cm x 6 cm (total size) 2017- photo Hilmy P Soepadmo
It’s Neither Artwork, Nor Commodification Either Way I’m Fine - Printed plexiglass, oil on canvas, foam 102 cm x 62 cm x 6 cm (total size) 2017- photo Hilmy P Soepadmo
Hilmy P Soepadmo_Compositing
Hilmy P Soepadmo_Compositing
Hilmy P. Soepadmo_Compressed Object of Commodification #1_oil on canvas, PVC, perspex_111 cm x 93 cm x 15 cm_2019 -Photo by Bale Project
Hilmy P. Soepadmo_Compressed Object of Commodification #1_oil on canvas, PVC, perspex_111 cm x 93 cm x 15 cm_2019 -Photo by Bale Project

【Putri Works】


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God, may i plead a thing Stained Glass 80 x130 cm 2022 Photo Courtesy of Selasar Soenaryo
God, may i plead a thing Stained Glass 80 x130 cm 2022 Photo Courtesy of Selasar Soenaryo

_なるほど。おふたりそれぞれがアーティストとして作品を手がけてこられたからこそ、今の“Copyright/Reserved”の作品がどれもクオリティが高く、独創的な表現になっているのですね。以前のおふたりの作品も拝見させていただきましたが、異なる表現を持ちながら、どちらも本当にかっこいい。

そして、コラボレーションしてきた方々も、個性豊かでとても魅力的ですね。たとえばパンクバンドの“DONGKER”、グラフィティアーティストの“HIKIGUYS”、デジタルフォントを手がける“Tokotype”、デザインスタジオの“NOUV°”……。彼らとはどのように出会い、どのようにコラボレーションが始まったのでしょうか?


彼らの多くとは、インドネシアのバンドンで、友人関係や共通のコミュニティを通じて出会いました。バンドンには結束力の強いクリエイティブなコミュニティがあって、みんながコラボレーションに前向きで、将来のプロジェクトについて気軽に話し合ったり、新しいつながりが生まれたりする環境が整っているんです。

正直に言うと、これらのプロジェクトの中には、「誰が最初に声をかけたのか覚えていない」ものも多いんです。それくらい自然に始まる関係ばかりで、常に双方向的なコラボレーションなんです。

少しだけ、なぜ私たちが多様なバックグラウンドを持つ人たちと協働しているのかについてもお話させてください。

私たちが“Copyright/Reserved”を立ち上げたとき、それはまさに「水を得た魚」になったような感覚でした。ファインアートの世界から一歩踏み出して、より広いクリエイティブのフィールドに進もうとしていた私たちは、それなりの経験を積んでいましたが、それでも企業の一部として働くのではなく、自分たち自身の情熱とスキルで生きていきたいという強い思いがありました。

私たちは、戦わずして社会のシステムに屈したくはなかったんです。そして今では、私たちを心から信頼してくれるクライアントと仕事をするデザインスタジオを築くことができています。

ときどき思うんです。もしもっと早い段階で、多くの機会やプラットフォーム、信頼できる協力者に出会えていたら、私たちはさらに大きく前進できていたのかもしれないって。

インドネシアでの生活は、例えるなら“ハードモード”でゲームをプレイしているようなもの。高い税金、クリエイターを軽視しがちな腐敗したシステム、常につきまとう海賊版のリスク……。こうした困難と、常に戦っているような気分です。“Copyright/Reserved”“Extensive Publishing”は、こうした現実に抗いながら、同じような状況にある仲間たちを支えたいという思いから生まれました。

努力が実を結び、新しい作品が世に出る瞬間…それを見ることが、私たちにとって何よりの喜びです。けれど、才能があって情熱を持っている友人たちが、生活費のために会社勤めを余儀なくされている現実には、胸が痛みます。

だからこそ、私たちは自分たちの仕事を通じて、創造性を発揮できる機会と、安心して表現できる場を提供したいと考えています。

私たちの本は、見た目もテーマもとても多様に見えるかもしれません。でも、それこそが私たちのあり方そのものなんです。私たちは、クリエイティブ・コミュニティを支え、その多彩な才能と表現を世に広めていく。そしてそれを、持続可能なかたちで利益につなげていく。そんな集団でありたいと思っています。


_とても共感します。私の暮らす日本でも、ここ数年で景気が著しく悪化しています。新型コロナ以降、経済は大きく落ち込み、その状況は今も続いています。

 人口は減っているのに、税収は増え、国民への負担はますます重くなっているように感じます。もちろん、さまざまな要因があるとは思いますが、私には「普通に生きること」がだんだん難しくなってきているように見えるのです。あなたたちの拠点であるインドネシアはどうでしょうか? とくにバンドンでは、今どのような問題に直面していますか? あなたたち自身、そしてあなたたちのまわりにいる友人たちの置かれている現状について、もう少し詳しくお聞きしたいです。


私たちの拠点は、首都ジャカルタから車で3〜4時間ほどの場所にあるインドネシアのバンドンです。ここは大学が多くあることから「学生都市」と呼ばれることもあります。 また、“クリエイティブ・シティ”というラベルもありますが、これは観光客誘致のために政府がつけたありふれたキャッチフレーズで、私たちにとってはちょっとしたジョークのようなものです。でも、この言葉にはある程度の真実も含まれています。たしかにバンドンには活気あるクリエイティブ・シーンが根付いていて、スタジオもチーム主導・個人主導どちらも多様に存在し、とても活発です。特筆すべきなのは、そのオープンで有機的な雰囲気です。人々はよく会って話し、コラボレーションし、ただ一緒に時間を過ごすことも多い。それがとても自然なんです。アーティストやクリエイターにとっては、本当に歓迎される環境だと思います。素晴らしい作品を作り、その意図が本物であれば、ここで足場を築くのは決して難しくない。そんな実感があります。


とはいえ、大きな課題もたくさんあります。その多くは制度や政府の問題に起因しています。たとえば最低賃金はとても低く、さらに来年には税率が12%に引き上げられる予定です。収入と支出のバランスが極端に悪いため、私たちのまわりにいる多くの人々は、2つ、3つ、時には4つの仕事を掛け持ちして生活を成り立たせています。大企業でさえ経営が厳しく、レイオフ(人員削減)がますます当たり前のようになってきています。

このような経済的圧力は、当然ながらクリエイティブの世界にも大きな影響を与えています。たとえば、デザインやアートといったアウトプットは、そのオリジナリティによって評価されるのではなく、単に「使い捨て可能な商品」として扱われてしまうことが多くなっているのです。特にデザイン業界では、Canvaのようなツールやフリーソフトの台頭によって、基礎的なスキルを持たずに作品を作る人が増え、信じられないほど低価格でサービスを提供するケースも珍しくありません。


 もちろん、それがクライアントにとって金銭的なメリットがあるのは事実です。でも、こうした動きが、プロフェッショナルとしてのデザインの価値を下げてしまい、オリジナリティを阻害することになっています。Pinterestの画像や既存のデザインをコピーするのが主流になってきたのも、「そのほうが早くて安い」という理由があるからです。クライアントも、もはやそこに疑問を持たない。誰かを非難したいわけではありません。でも私は、優れたブランディングやデザインというのは、意図的で、ユニークなものであるべきだと信じています。正直なところ、今の環境は本気でクリエイティブに取り組む人にとって、とても辛いものになっています。政府が最低賃金を引き上げなかったことで、クリエイティブな仕事が過小評価され、プロフェッショナルが正当な報酬を得ることが難しくなるというサイクルが強化されてしまいました。健全でクリエイティブな環境というのは、本来、人々が模倣に頼らず、独創的な作品を生み出し、そして他者の作品からも刺激を受けながら、自分の表現を磨いていける、そんな循環が必要です。私たちは、意義のある、本物の作品を生み出し、それに対して正当な対価を得たいと願っています。でも、その2つが一致することは、ほんとうに稀です。


ときには、イライラしたりすることもあります。正直なところ──「他の国に行って、そこで頑張ってみたい」と夢を見ることも、しょっちゅうなんです。



_ここまで、あなたのお話をお聞きして、私は人類学者でアナキストのデヴィッド・グレーバーの著書にあった一文を連想しました。その文章は下記のとおりです。


「奴隷には家族も親族も共同体もなく、他の人間と約束をなすことも継続的なつながりを築くこともできない。英語の”free”という言葉が、”friend”という語源に由来しているのはこのためである。奴隷は、他者と約束をなすことができなかったがゆえに、友をもつことができなかった。というのも、かれらはだれかの権力のもとに完全に服従しており、その唯一の義務とは主人の命令を正確に遂行することのみだったからである。」


この文章をすこし強引に解釈すると、”友人をもつことは、自由であること”と意味を取ることができます。私は、あなた達がコラボレーションしていくことで、より”自由”を得ているように感じました。そこでお聞きしたいのですが、コラボレーションすることで、具体的にどのような効果が発生していると思いますか?また、コラボレーションをすることで、あなたたちが個人的に得ているものは何でしょうか?それらは、今後のあなたたちの作品に影響を与えていると思いますか?


コラボレーションを通して、私たちはさまざまな視点やその背後にある長年の努力に触れることができ、それは私たちに力を与え、クリエイティブの旅を豊かにしてくれると信じています。私たちとコラボレートする多くの人たちは、アートやクリエイティブな分野に対して真摯に向き合い、ポジティブな姿勢で活動しています。 彼らは「やらなければいけない」からやっているのではなく、自分自身のことや環境のこと、そして未来への純粋な思いを原動力にして、心から創作をしている。 そんなふうに生み出された作品は、多くの場合、自ら語りだすような力を持っていて、説明の必要がほとんどないほどです。

個人的にも、コラボレーションのなかで新しい発見やストーリーが生まれるのを何度も体験しています。誰かと一緒に新しい作品を創ることは、双方がその経験から得るものが多くあり、価値のあるプロセスです。それはまさに双方にとってメリットがあることなのです。


_鑑賞者は、あなたたちがおこなっているコラボレーションの作品を鑑賞し、体験することで、そこから力をもらえるように感じます。そして、あなたたちが生み出した新たな発見やストーリーは、鑑賞者を新たな旅に連れて行ってくれます。あなたたちの作品で、私は気になっていることがあります。それは”現代社会のシステムと戦っている”というメッセージを感じることです。例えば、植民地時代の写真を用いて表現をした”Course Kit vol. 1 – Theo Frids Edition Workshop set”や、種差別を題材としたTokotypeとのコラボレート作品”Not A Shooting Target Practice”。それに、パンクバンドの”DONGKER”やグラフィティ・アーティスト の‘HIKIGUYS’、彼らもまた社会のシステムと戦っているアーティストだと思います。そして何よりそれは、ここまでお聞きしたあなたの言葉からも感じることができました。現代社会のシステムと向き合うことは、あなたたちの表現と切り離せないもののように感じました。


そして、あなたたちはそれらの作品を持って、世界各地の国際的なブックフェアに参加されていますね。各地での反応はどうでしょうか?また、あなたたちは各地で何を感じていますか?



とてもいい視点ですね ! 正直に言えば、私はこれまで、自分やスタジオの仕事をそのような形で捉えたことはありませんでした。でも今、改めて振り返ってみると確かに、そうかもしれません。そう、例えるなら私たちが言おうとしているのは、実存主義からの言葉を借りれば、世界は根本的に不条理だということです。この不条理を認識することは、恐怖や絶望を否定することではありません。それらに正面から向き合う勇気を持つことなのです。


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Framer Framed Anonim by Theo Frids Marulitua Hutabarat – foto Maarten Nauw
Framer Framed Anonim by Theo Frids Marulitua Hutabarat – foto Maarten Nauw

Tokotype / Not A Shooting Target Practice
Tokotype / Not A Shooting Target Practice

恐怖は個人的なものであれ、政治的なものであれ、社会的なものであれ、何でも起こり得ます。それこそが世界を不合理なものにしているのです。あなたと私はともに、自国の文脈における『不合理さ』との出会いを共有してきました。それもまた、恐怖を生み出し、圧倒されるような静かな混沌としたものを感じさせます。しかし、私たちにとっては、その不合理に立ち向かい、それに飲み込まれることなく恐怖を受け入れることが、私たちの作品に意味を与えています。それは一種の反抗であり、不条理に対するささやかな反逆なのです。



端的に言えば、コラボレーションや Copyright/Reserved の作品は常にシンプルです。それは、『ただ生き残るための心からの叫び』なんです。



Dongker / A world so rotten it became hostile and uninhabitable—a place they no longer want to live in. Or destroy.Or change.Or all of it at the same time.
Dongker / A world so rotten it became hostile and uninhabitable—a place they no longer want to live in. Or destroy.Or change.Or all of it at the same time.

そして、あなたの質問にもお答えします・・・、

ブックフェアでの反応は、開催される場所によって少しずつ異なります。

ただ、これまでの経験を通して気づいたのは、私たちの活動に関心を寄せてくれるコミュニティや鑑賞者の多くが、以下のような人たちであるということです。


1、デザイン好きの人々:デザインスタジオとしての私たちのルーツを反映し、彼らは私たちの編集の視点に惹かれるようです。

2、学生: 私たちの視覚的に魅力的で親しみやすいブック・コレクションは、アーリーアダプターや学生の読者にも好評のようです。

3、学際的な人々: 私たちの有機的で多様なアプローチは、分野を超えてさまざまな関心を持つ人々を自然と惹きつけているようです。


興味深かったのは、これらのイベントに参加するまでは、私たちのニッチな読者が誰なのか、あるいは私たちの仲間が誰なのか、あまり考えていませんでした。でも、新しい人々と出会い、そのつながりを振り返っていく中で、私たちは、私たち自身についても、より深く理解できるようになりました。そしてそれはとても特別なことです(そして正直なところ、それを実感するのは少し楽しいことです!)。参加する都市や国に関係なく、どのブックフェアも、私たちの心の中で特別な位置を占めています。 そして、いつもどこか「故郷」のように感じられることが、不思議で、とても心地良いんです。本というメディアは本当に特別です。見知らぬ人同士をつなげ、変わり続ける世界の中でシェルターのような感覚を与えてくれる。ブックフェアから帰るたびに、世界がどれだけ希望に満ちているかをあらためて感じさせられます。より多くの知識が共有され、より多くの人々が本を読みます。私たちは、そうした美しい未来に向かって進んでいるような気がします。そして、このような意義深いことに自分たちが関われていることが、心から嬉しいのです。


_ここまで、とても素晴らしい言葉の数々をお話していただきありがとうございます!私はあなたの言葉から勇気と力をもらい、そしてとても共感しています。

『ただ生き残るための心からの叫び』私はこの言葉に感動しました。あなた達は素晴らしいスタジオであり、真のアーティストだと私は思っています。

私もこれまで日本国内でのブックフェアに少しですが参加してきました。そして、あなたの言葉同様に、心の中で特別な位置を占めており、私も同様に故郷のような心地良さを感じています。この言葉について、もう少し詳しく掘り下げたいです。初めての場所でも、そのように感じるのはどうしてだと思いますか?


うーん、はっきりとは分かりませんが、ブックフェアに集まる人たちは、おそらく「自由な精神」を持った人が多いからじゃないでしょうか。みんなオープンマインドで、意見を交換することを恐れないし、人と心からつながろうとしているように思います。それは、ただ「ものを売るためにいるんだから、歓迎されなきゃいけない」っていうことじゃなくて(笑)、 好奇心を共有しているということの方が、ずっと大きい気がします。私たちは、お互いの作品をもっと知りたいと思っているし、リスペクトを持って接したいと思っている。私たちは、お互いの作品をもっと知りたいと思っているし、リスペクトを持って接したいと思っている。新しい人と出会ったり、新しい土地を訪れたりすることで、次の作品を作る前に、知識やインスピレーションを得ることができるんです。私たちは、作品をつくること、本をつくること、そしてそれを収集することに、とても多くのエネルギーを費やしています。こうしたイベントは、私たちに誇りを持って作品を発表する機会を与えてくれています。

ブックフェアが特別なのは、みんなが互いに敬意と好奇心をもっていて、見知らぬ人同士でも自然とフレンドリーになれる──そんな雰囲気があるからだと思います。


_それでは、最後の質問です。これから作品を作りたいと思っている人、これから表現をしていきたいと思っている人、これからデザインをしていきたいと思っている人に何かアドバイスかメッセージをいただけますか?


私は、最も重要でやりがいのあることのひとつは、創作することとは別に、待つことだと考えています。この業界で持続的に影響を与え続けるためには、忍耐力と首尾一貫した姿勢が重要です。何年にもわたって自分の芸術と創造性を維持し続けること…。たとえ誰にも理解されなくても、自分のビジョンに自信を持ち続けること。鍛錬を怠らず、たとえ誰も見ていない場所でも、常にベストを尽くすこと。はじめのうちは孤独に感じる旅かもしれませんが、やがて同じ価値観を持つ人たちと出会い、すべてが報われるはずです。

コラボレーションもまた、創造的な表現を育むうえで、とても素晴らしい方法のひとつです。他者と協力すること。つながりを築くことにオープンでいることは必要不可欠です。創造性というものは、有機的で、協力的で、健全なエコシステムを育むことに集中しているときに成長するものです。もし、あなたが探求と交流に心を開いていれば、きっとあなたの道が見つかるはずです。


_ありがとうございました。



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Copyright/Reserved ,Extensive Publishing


「Extensive Publishing」は、インドネシアのバンドンを拠点とする実験的なデザインスタジオであるCopyright/Reserved主導のもと、書籍、ZINE、オブジェに焦点を当て、新たなクリエイティブな道を探求する取り組みとして発足。この出版ラインでは、クライアント主体となるプロジェクトの枠を超え、より広範なクリエイティブの可能性を追求し、強力な表現媒体としての「本」や「オブジェ」のプレゼンテーションやレイアウトを再構築したいという思いから誕生。


「The Copyright/ Reserved」の多岐にわたるオブジェと出版が生まれた理由、それは『最もインスピレーションを与えてくれるものが生まれる時というのは、異なった分野の人々が衝突し、実験を行ったとき、その結果は驚異的なものになり得るということ』からでした。それは何も意味しないかもしれないし、すべてを意味するかもしれない。啓蒙的かもしれないし、つまらないものかもしれないし、古臭いものかもしれないし、重要なものかもしれない。誰も評価しないのに、なぜ私たちは評価しなければならないのか?私たちは、読者へ緊張感、感性、嗜好、感情をはっきりと伝えられる本を通して、自らの情熱を燃やすことができる幸せな人々がいることを知っています。そして、彼らは大衆には迎合しない。


彼らは幸せをもつ人たちです。


 
 
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