※皆さま沢山のご来場ありがとうございました。こちらの展示は終了しました。
Slow Diggin’: Erin O'Keefe
- Fragments and Influences -
エリン・オキーフー断片と、その背景にあるものー

きっかけは、エリン・オキーフ本人から譲ってもらった、彼女の最初の作品集『Built Work』でした。いつか彼女の3冊の作品集を一堂に並べて紹介したいとずっと思っていて、最初の一冊を受け取ったそのときに、今回の展示の構想が動き始めました。
本展では、これまでに出版されたオキーフの作品集3冊と、ポスターエディション作品を展示します。そしてあわせて、彼女が影響を受けてきたアーティストたちの作品集も並べます。
彼女がどんな人で、どんな観賞者として、これまでどんな作品に出会い、何を感じてきたのか。彼女自身が見てきた作品と、その蓄積のうえに生まれてきたオキーフの表現とを並べて鑑賞することで、彼女の作品世界をこれまでより少し深く、また別の角度から捉えることができるかもしれません。
CYROではこれまで、「作品やアートブックは、好きに見て、自由に感じていいもの」と思いながら活動してきました。その考えはいまも変わりません。文脈から読むのも、歴史的背景や出自を深掘りするのも、また直感的に「何かよくわかんないけど、この作品好き」と惹かれるのも、「見ていて単純に元気でる!」というのもどれも最高です!どれも自由でいい。見方はたくさんあって良いと思っています。実際、僕自身がアートブックにハマった最初のきっかけは「仕事の参考になりそう」「インスピレーションが欲しい」といったものでした。でも、限られた冊数の中で同じ作品集を何度も何度も(お金が無くて、たくさんの本を買えなかったという理由もありますが)ページをめくっていくうちに、最初とは違う楽しみ方や感じ方が芽生えていったのも事実です。
オキーフの作品は、見る人によってまったく異なる受け取り方をされるのが印象的です。ある人は「見ていて引き込まれる」と言い、別の人は「パワーをもらえる」と感じる。同じ作品を前にして、引き込まれる体験と放たれるものを受け取る体験、その両方が語られるのがとても面白いと思います。
今回は、そんなオキーフのこれまでの軌跡をたどりながら、彼女が何を見てきたのか、そして何を感じて作品にしているのかを少し垣間見てもらえるような展示にできればと考えています。
会場はとても小さなスペースですので、1〜2人ほどでいっぱいになるかと思います。アポイント制ではありませんが、どうしてもこの日のこの時間に見たいというご希望があれば、お気軽にご連絡ください。近くには美味しいドイツパンのお店や、お蕎麦の名店、動物園(この時期は週末にナイトズーもやっています)、日帰り温泉もあります。夏のお出かけがてら、ふらりと立ち寄っていただけたら嬉しいです。ご来場を心よりお待ちしております。
2025/08/09(土)-08/30(土)
OPEN:9:00-16:00
CLOSE:毎週月曜・19(火)・20(水)・21(木)
場所:CYRO
住所:〒923-1245 石川県能美市辰口町220-3

Erin O'Keefe
Artist Profile
エリン・オキーフはニューヨークを拠点に活動する写真家である。建築のバックグラウンドを持つ彼女は、空間認識を探求する作品制作に興味を抱いている。
オキーフの作品は、色彩豊かな幾何学的形状と、光と影を精巧に操作することで生み出される視覚的な遊びに満ちている。彼女が撮影するペイントされた木製の造形物は、カメラを通すことで、空間の奥行きやスケールが曖昧な、抽象的で不確かな世界へと再構成される。カメラが三次元の形を二次元のイメージへと変換する際に生じる歪みや視覚的な誤解ーこの必然的なズレこそが、彼女の作品の中心的なテーマである。建築的な視点と写真の特性を融合させながら、オキーフは知覚の限界に問いを投げかけ、観る者の知覚を揺さぶるユニークな視覚体験を生み出している。
彼女はこれまでに、『Built Work』(Jane & Jeremy, 2020)と 『How are Things』(Distanz, 2023)の2冊のアートブックを出版。近年では、ロンドンの Seventeen Gallery、ニューヨークの Sargent’s Daughters Gallery、ミラノの Ncontemporary Gallery で展覧会を開催している。
