Misa Asanuma / Caro

日本のアーティスト Misa Asanuma による作品集『Caro』です。本作は、作者が撮り溜めたここ最近のスナップ写真を、主にチラシなどで使われるコート紙にインクジェットプリントし、クリップで簡易的に綴じたフォトブックです。作品集についての詳細や解説、そして作家名やタイトルといった一切の説明的要素を排し、ただ写真だけが並ぶ構成になっています。
本作は、作者が「写真って本当に誰にもできる“軽い”ものだと思っており、固有性や自分が作ったもの、みたいな個性を主張することに違和感がある」という考えを抱き、そこを起点に、制作のスピード感も大切にしながら、むしろ「個性をどこまで手放せるか」という思いで問い直した作品です。
私自身、CYROをはじめてから海外の作品を多く紹介してきましたが、なぜか日本のアーティストを扱うことに躊躇がありました。そんな中で出会ったのが Misa Asanuma の作品です。最初に見たときは浅はかな見方しかできなかったのですが、2年ぶりに作品集を開いた瞬間、心惹かれるものがありました。そこから何度もページをめくるたびに、色あせることなく情景が立ち現れてきます。
この体験をぜひ多くの人と共有したいと思い、今回 CYRO での取り扱いを決めました。個人的な感情から始まったご紹介ですが、強く心に残る一冊です。ぜひ手に取っていただければと思います。
 
この作品の紹介に、こう書いてしまうことに躊躇しますが、私が個人的に感じている Asanumaの魅力は、作品から発せられる彼女独自の「声」にあります。写真・絵画・陶芸・詩・ビデオ、どれを取っても一貫して感じられるのは、人それぞれが持つ声のように、その人独自の体温を宿したもの。言葉で言い表せないけれど、確かにそこに存在するものです。Asanumaの作品には共通してその感覚が表れており、それが空間に溶け込みながら軽やかに広がり、同時に強く惹き込まれます。ぜひAsanumaの声の痕跡をお楽しみください。
 
出版社 publisher：Self Published
刊行年 year：2025
ページ数 pages：40
サイズ size：182x 128mm
フォーマット format：Softcover
言語 language： 
付属品 attachment：
状態 condition：New
First edition