人間精神の統合性（インテグリティ）、あるいは人間の肉体の統合性ですら他者との関係のなかに囚われており、世界に影響を与えることのできる能力の感覚とむすびついていた。もしそうだとすれば、ブルシットな仕事は精神的暴力以外のなにものでもないはずである。

とはいえ、魂に抵抗する手段がないわけではない。そこで、こうした状況が生み出している精神の戦争に注意を促すことで本章をしめくくりたい。そのさい、［ブルシットな］仕事以外のくわだて（プロジェクト）に関わることで正気を保つやり方をいくつか紹介してみたい。お望みならば、その方法をゲリラ活動と呼んでもよい。

（中略）

やりがいのあるものとしてあげられるのが創造的な活動であるー芸術、音楽、文章、詩の追求に多数のひとが注いでいる粘り強い努力は、かれらの「現実の」支払い労働（ペイワーク）の無意味さに対する解毒剤として作用している。

＿［ブルシットジョブ_デヴィッド・グレーバー著］より抜粋