
The Refusal Manual
『The Refusal Manual(否定マニュアル)』は、Copyright/Reserved と CYRO の共同制作によるプロジェクトであり、石川県のお旅まつりとその弾圧の歴史から着想を得ています。
お旅まつりは権力を転覆させる祭りです。子どもたちが主役となり、かつて周縁に追いやられていた女性たちが、跳ね返りと強靭さの象徴として現れます。本作は、身振りや断片、再解釈を通して、外部の視点から──女性と子どもが主導する「抵抗」がいかにして演じられうるかを探ります。
The Refusal Manual is a collaboration between Copyright/Reserved and CYRO, inspired by Ishikawa’s Otabi Festival and its history of repression. Otabi subverts power: children take center stage, and women—once marginalized—emerge as symbols of resilience. Through gestures, fragments, and reinterpretations, we explore how rebellion can be staged with children and women as leaders, seen through an outsider’s lens.

お旅まつりでは、子どもや女性が権力構造を反転させるという物語が中心的な焦点として存在しています。ここで言う「否定(refusal)」とは、単に「ノー」と言うことではなく、支配的な構造や規範、期待から距離を取り、従わず、抵抗し、別の在り方や考え方を主張する姿勢を意味します。お旅まつりは権力を転覆させます──子どもたちが舞台の中心に立ち、かつて周縁化されていた女性たちは跳ね返りの象徴として現れるのです。
At the heart of Otabi Festival is a narrative around the subversion of power structures. Resistance in this context became deeply embedded within the culture, interwoven into Otabi Festival’s very practice and history of oppression. The festival asserts an alternative way of being or thinking outside dominant structures, norms, or expectations.
Stacking Module
[Stacking Module]は、お旅まつりの建築的および祝祭的要素から着想を得たフォルム研究です。祭りに存在する物理的構造を、Contureの素材表現によって鋳造された一連のコンクリート·モジュールとして再解釈しています。
無限に積み重ね可能なシステムとして設計されたこの構成は、自由な配置や再解釈を促します。ユーザーは、単なる形としてではなく、日常に溶け込む具体的な存在として、お香立てや装飾品としての使い方を試すことができます。
また、現在のお旅まつりでは、子どもによる歌舞伎も行われています。モジュール式のブロックは「おもちゃ」から着想を得ており、子どもが使う積み木のような性質を持っています。娼婦と子どもは、お旅まつりで行われてきた歌舞伎の歴史に深く根付いています。娼婦と子ども、そのどちらもが過去の歴史のなかでは権力無き者たちでした。彼らが楽しんできた物として、一方は「お香立て」、そしてもう一方は「積み木」として使用できるように本作品に取り込みました。両者が共存することには、違和感があるように見えるかもしれませんが、これは権力無き者たちが、それぞれの異なる時代で同じ舞台に上がってきたという歴史的現実を反映しており、その共有された歴史のなかから意味を見出そうとしています。

Copyright/Reserved ,Extensive Publishing
Extensive Publishing(エクステンシブ・パブリッシング)は、インドネシアを拠点とする実験的デザインスタジオ COPYRIGHT/RESERVED(https://www.instagram.com/copyright.reserved/)が運営するインディペンデント出版レーベルです。
「他分野との領域横断的なコラボレーションの可能性を探ること」と、「〈本〉や〈オブジェクト〉という媒体の枠を拡張すること」——この二つのシンプルな欲求から誕生しました。
2023年、ヒルミー・プラタマ(Hilmy Pratama/1993年生 “He/Him”)とプトゥリ・ララサティ(Putri Larasati/1994年生 “She/Her”)によって設立されたExtensiveは、もともとCOPYRIGHT/RESERVEDがクライアントワークの枠を越えて創造的な活動を継続するための小さな試みとして始まりました。
ふたりがファインアートの背景を持つことから、スタジオは自然とアイデアを育み、実験を重ね、新しいアプローチを試すための場となりました。
実験性は彼らの実践の核にあります——フォーマット、コラボレーション、レイアウト、素材。どの領域でも学び、適応し、固定化しないこと。それが彼らが“実験的”デザインスタジオと名乗る理由です。Extensiveは、出版社であり、同時にリソグラフ印刷スタジオでもあります。自らのタイトル制作に加え、インドネシア国内のアーティスト仲間や他の出版社が、自らのアイデアや声を本やポスター、ジンの形で発表できるプラットフォームを提供しています。
現在で設立から3年目を迎え、バンドン(※インドネシアの都市)のクリエイティブ集団Maternal(https://www.instagram.com/maternal_disaster/)からの長期貸与によって6色のリソカラー(今も増加中)を使った印刷が可能になっています。
この「貸与」は単なる機材の共有ではなく、インドネシアにおける創造活動が、コラボレーションと相互支援によって支えられていることの象徴でもあります。彼らにとって出版とは、芸術的な実践であると同時に、インディペンデントなクリエイターが生き延びるための戦略でもあるのです。
グラフィティアーティスト、ミュージシャン、イラストレーター、プロダクトデザイナー、タイプファウンダリーなど、さまざまな分野の仲間と協働し、既存の「アートブック」や「デザイン書」の枠を越える出版物を制作しています。
出版物は、出版を「生きた実験」として扱うというビジョンを体現しています。各プロジェクトは、フォーマットや素材、共同制作のあり方において新たな可能性を試みています。リスクを受け入れ、異分野との横断する交流を重ねることで、本は単なるコンテンツの器ではなく、守り続けたい「協働の精神」の具体的な表現となります。
彼らにとって Extensive は、単なる出版ラインではありません。それはインドネシアの独立系クリエイターとして生きるための——「心からの叫び(a cry from the heart to survive)」なのです。


